とんこつラーメンのおいしさを教えてくれた店「九州じゃんがら」
もうほんと昔々大昔の話なんですが、地元札幌から東京へ進学し、見るもの聞くもの食べるものが新しいものばかりの新生活。その新しいもののひとつが東京で初めて食べた「とんこつラーメン」。もちろんそれまでに食べたことなかったわけではなく、札幌にもとんこつラーメンを出す店があってそこで食べたり、カップ麺やインスタント麺でもとんこつラーメンは食べたことがありました。でもそれら今まで食べたことのあったとんこつラーメンとはまったく別物だったのが、「九州じゃんがら 銀座店」で食べた「ぼんしゃん」。みそラーメンの国で生きてきたので、濃い味のラーメンには慣れていたんですが、それとはまったく違う、粘度の強いスープ、そして強烈なとんこつ臭は初めての経験で、すぐに虜になって通い詰めるようになりました。私にとっておいしいとんこつラーメンの祖がこの「九州じゃんがら」の「ぼんしゃん」なのです。
それ以来、ラーメンの中でもとんこつラーメンを好んで食べるようになり、いろんなラーメンを食べ歩きましたが、常に頭にあったのは「ぼんしゃん」で、ラーメンの味を評価する時には必ず、「ぼんしゃん」と比べてどうか、と考えていました。とんこつ臭のもっと強烈な店は数件あって、それらもお気に入りのお店にはなりましたが、「ぼんしゃん」のすごいところはとんこつ臭と粘度を両立させていることで、比類なきラーメンと言えました。
地元に戻ってからはなかなか食べる機会がなかった「九州じゃんがら」の「ぼんしゃん」でしたが、出張や旅行の時にたまに食べる「ぼんしゃん」は相変わらず格別で、やっぱこれだよな~と涙しながら食べていました。しかし最近、「ぼんしゃん」の味が変わってしまい、とんこつ臭も粘度もなくなってしまったと、とあるラーメンの達人に教えていただきました。あ、この御方は前回の記事でも登場した方です。これは自分自身の舌でもしっかり確認しなければと思い、今回東京出張2件目のお店としてこの店を選びました。
「九州じゃんがら」の「秋葉原本店」
今回は平日の夜遅い23時位に訪れたのですが、中は待っている人がいるくらいの盛況ぶり。味が変わったと聞いていたので経営は大丈夫なのかと勝手に心配していたものの、そんなのはまったくの杞憂だった模様。秋葉原本店は「九州じゃんがら」としての最初のお店で1984年に開店。私が通っていた当時は秋葉原では「ぼんしゃん」が供されていなかったため、私は銀座店や日本橋店に通っていました。実は秋葉原本店に訪れるのは初めてです。
こちら秋葉原本店の「ぼんしゃん」with 「味玉子」。私が知っている「ぼんしゃん」は底の浅い丼に下受けの皿がついたものでしたが、ここの「ぼんしゃん」は底の深い大きな丼。他の店の中には今も浅い皿で供されているところもあるようです。
それにしてもこの写真、前回は手ブレでしたが、今回は照明の光による反射。いやー写真撮るのって難しいですな。しかも食い気に逸って1枚しか撮ってないし。写真的には東京出張で2連敗。大好きなとんこつラーメンを前にすると正気を失うので困ったものです。
さて今回の「ぼんしゃん」。結論から先に言えば、前食べていた「ぼんしゃん」とはまったく別物の、とんこつ臭もないし粘度も低いスープ。正直がっかりしました。ただ、周りの客は、マー油の入った「こぼんしゃん」や、ぼんしゃんに辛味のついた「からぼん」を食べている人が多く、たぶん形を変えて客には支持されているのではないかと思います。私が通っていた当時は本格的なとんこつラーメンが求められていたのに対し、今はそれがなくても支持があるようです。
また、今回は「秋葉原本店」で食べましたが、以前から「ぼんしゃん」を供していた「日本橋店」や「原宿店」で食べたらまた味が違うのかなとも思います。公式HPでも、「九州じゃんがらは、各店にそれぞれの個性があります。ぜひ、あなたのお気に入りを見つけて下さい。」と書かれており、お店によって味が違うことを想像させます。また今度、別の「九州じゃんがら」のお店に行って「ぼんしゃん」を食べてみたいと思います。