札幌はとんこつ臭の不毛地帯
札幌はご当地ラーメンの代表格である札幌みそラーメンを擁し、ラーメンで有名な都市とも言えます。最近はみそラーメンに留まらず、全国的に人気の味を取り入れたラーメン店も多くなっています。一方で。とんこつラーメンについては不毛地帯と言え、ラーメン店の多さに比してとんこつラーメンのお店は少ないです。札幌みそラーメンのスープのベースはとんこつなんですけどね。こと「とんこつ臭」については特に嫌われる傾向にあり、おいしいと評判のお店が周辺住民からのとんこつ臭への苦情によって閉店に追い込まれたなんて話も聞きます。とんこつ臭が閉店の理由になってしまうのは札幌だけではないようですけど。
そんな札幌にあって、本格的なとんこつラーメンを出すお店があるという評判を聞きました。札幌の北区新川という地域にあるお店。近隣の人以外にとってはあんまりアクセスが良いとはいえない住宅地の中にあるお店です。うちからもちょっと遠いのですが、とんこつと聞けばいてもたってもいられなくなり、車で行ってきました。
「ラーメン 八卦」は店の外も中もそれほどとんこつ臭がしていない
お店の名前は「ラーメン 八卦」。近くにMEGAドンキがありますが、基本的には住宅街の中にあるお店です。外からはあんまりとんこつ臭は感じません。住宅街ということで、かなり臭いには配慮しているものと思われますが、まだまだ寒い季節柄というのもあるかもしれません。
すいませんこの写真はかなり豪快に手ブレをしてしまいました。まったくいつになっても学ばないですねぇ。
店内は外に比べると少しとんこつ臭がしています。ただ、東京や九州のすごい店と比べると全然大したことありません。ここへきてちょっと不安になります。この店本当にとんこつ臭の盛大なラーメンを楽しめるのか?と。でも今回、夕食時が始まったばかりの18時頃に行ったので、とんこつ臭が弱いのはまだラーメンをあんまり作ってなかったからかもしれません。
店内にはお店の主が福岡の久留米出身であることや、元祖久留米のとんこつラーメンを広めたい旨の張り紙が展示されたりしていました。写真は撮っていませんすいません。
まさに久留米ラーメンという一杯が出てきた!
注文したのは「久留米ラーメン(とんこつ)」に、玉子のトッピング。出てきたラーメンはやや褐色めいたスープに、通称「カリカリ」と呼ばれる、背脂からラードを取った残りのものを火にかけ続けてカリカリにしたもの。久留米ラーメンの代表格である大砲ラーメンにもカリカリは使われています。結構本格的な久留米ラーメンかもしれない!!
そして丼を前にして湯気から立ち上るとんこつ臭。これは結構すごい。目に染みるレベルw 半信半疑だったはずが、食べる前にしてもう勝利を確信してしまいました。
麺は低加水の細麺で、いかにもとんこつラーメンの麺です。ただ、博多麺ほど細くはなく、このあたりも久留米ラーメンらしさですね。久留米ラーメンらしさを追求しようとする姿勢が見た目からもわかります。
いやはや、食べてみても鼻にツンとくるとんこつ臭はかなりのもの。札幌にこんな店があるなんてという驚きと感動ととんこつ臭さで涙が出そうになります。私詳しくないのでうまく表現できませんが、ひとクセあるとんこつ臭さはおそらく、久留米ラーメンのスープの特徴である「呼び戻し」によるものと思われます。作ったスープを使い切るのではなく、継ぎ足し継ぎ足しで使っていく製法で、年月を積み重ねたことによるスープの熟成がこのひとクセにつながっているのではないかと思います。こりゃうまいよ。小池さんもびっくりだよ。
カリカリはおいしかったですが、この日のカリカリはちょっと苦かった。きっとその日のコンディションによって味がぜんぜん違ってくるパーツなのかなと思います。この苦味悪くなかったです。香ばしくておいしいカリカリでした。
ラーメンがあまりにおいしかったので、勢いで「高菜炒飯」を注文してしまいましたよ。写真に写ってないですが普通にライスも注文しているのに。高菜炒飯はラーメンに比べると感動はなかったですかね。このラーメンには白ごはんのほうがよくマッチすると思います。
あまりに感動的なラーメンで、きっちりスープ完飲しました。とんこつ臭のするおいしいラーメンと聞いていたので期待はしていましたが、まさかここまで本格的な久留米ラーメンが食べられるとは思っていませんでした。札幌にある本格久留米ラーメンのお店というところに、ものすごい価値があると思います。もっと都心で営業してもらいたいところではあるものの、とんこつ臭が原因で退店に追い込まれても困るし、人通りが多いと当然そういう話は出てくると思うので、移転は微妙なところでしょうかね。
利便性に欠ける立地が玉に瑕なんですが、こんなラーメン店が行きやすい場所にあったら通い詰めてしまうので、むしろ遠くて良かったのかも。とにかく感動的なラーメンに大満足でした。